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MAYFAIR FANTASY
第一章 旅立ち
map1 ネコミミ村
大陸の東に位置する小さな島国、その片隅の山間の平和な村から物語は始まる。
17歳の誕生日を迎えた村長の娘、黒猫は、父から重大な秘密を打ち明けられる。
「お前は私の本当の娘ではない」
「うすうす、気付いてました、父さん」
「そうか。お前は聡明な娘だ。本当の事を教えよう。
17年前、村はずれの神社に一匹の子猫が捨てられておった。
私はその子猫を拾い、育てる事にした。三年後、その子猫は、可愛らしい人間の女の子に成長した。だが、ネコミミと尻尾だけは、いつまでも無くなる事はなかった。それがお前だ。
小さな頃、お前は近所のワルガキにネコミミをからかわれ、よく泣いておった。そこで私は、国に行政特区の申請を出し、村民全員ネコミミアクセサリ着用条例を施行した。いつしかこの村は、ネコミミ村と呼ばれるようになった・・・」
「・・・ ・・・」
尊敬しています、お父さん。だけど、なんてイイ加減で親バカな村長・・・と、ひそかに思う黒猫でした。
「それでほかの人の耳はピクピク動かず、びっくりしても尻尾が太くならないのですね」
「そのとおり。お前の耳と尻尾だけが、本物なのだよ。
ここからは私の想像なのだが、お前は大陸の西の彼方にあるという猫の楽園、ニャングリラに住むニャーの一族の末裔なのだ」
「ニャー・・・?」
「ニャーは争いごとを嫌い、平和を愛するたおやかな一族と聞く。大陸の西の一族が、なぜこんな東方の島に流れ着いたのかは謎だが・・・」
あまりのことに、呆然とする黒猫なのでした。
きみぃの家
「黒猫ちゃん、遅いじゃない。ケイちゃんもう来て待ってるわよ。さあ、上がって上がって」
今晩は、幼なじみのきみぃの家に招かれていたのでした。
「ハッピーバースデー、黒猫ちゃん」
「お誕生日おめでとう、黒猫ちゃん」
「あ、ありがとう。きみぃ。ケイ」
「さあさ、ろうそく吹き消して。早く食べよ」
ろうそくの炎を見つめ、うつむいている黒猫でした。
「どうしたの? 黒猫ちゃん。なんか、暗いよ」
と、心配そうにたずねるケイです。
「私は、人間ではないらしい・・・」
「なんだそんなこと。だって猫でしょ」
「猫よね」
「だからぁ、そうじゃなくてぇ、冗談で言ってるんじゃなくてぇ、
本当に・・・」
ニャーの一族の事を話す黒猫です。
「わー、すごーい。かっこいい。黒猫ちゃん」
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