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MAYFAIR FANTASY
第二章 双子のプリンセス
map1 メイフェア王城
大陸の東を占める大国、メイフェア王国。賢王の誉れ高い国王は、いずれ王位を継ぐであろう双子の姫君を、庶民の気持ちが理解できるようにと、民間に預けて育てていた。
姉のメイ姫は、森の魔法使いの家で、住み込みメイドとして働きながら、魔法の勉強をしていた。彼女は、森の動物と語らい、花や小鳥を愛する、心優しい娘に成長した。
妹のちひろ姫は、下町に下宿し、メイドカフェで働きながら、
ジェネラル(将軍)の元で、剣の修行をしていた。いつか女王となる姉姫を、自分が守り、手助けするんだと心に誓う、気丈な娘であった。
双子のプリンセスの16歳の誕生パーティーの後、突如、悲劇は訪れた。
城は突然の魔族の大群に襲われ、火を放たれ、炎に包まれ、もはや陥落は時間の問題であった。
「ジェネラル(将軍)!!」
「はい、ここに。陛下」
「やつらの狙いは、アーティファクトと娘たち。娘たちを連れて地下通路から脱出しろ。わしは最後までアーティファクトを守らねばならぬ。それがアーティファクトの守護者たるメイフェア国王の務め。ちひろに、これを・・・」
剣を差し出す国王。受け取るジェネラル。
「これは、ホーリーレイピア・・・」
「ジェネラル、娘たちと、西へ・・・」
そう言い残して、国王は炎に包まれた秘宝の間へと飛び込んで行くのでした。
「メイ! ちひろ!」
炎の中、双子のプリンセスを探すジェネラル。
「マネージャー!」
「師匠!」
ようやく合流できました。
「さあ、姫たち、こちらへ・・・」
地下通路へと導くジェネラル。
「ちひろ、これを・・・」
ホーリーレイピアを差し出すジェネラル。
「これは・・・、父様の・・・。 父様は・・・?」
「陛下は、アーティファクトをお守りです」
「私も、父様の手助けを・・・」
「なりません!」
ちひろの手をつかむジェネラル。
「敵の狙いは、アーティファクトとあなたたち。今出て行っては敵の思う壺」
「でも、父様が・・・」
「陛下は、大陸一の魔導騎士とまで称えられたお方。魔族ごときに引けは取りません」
「でも、でも・・・」
「今は・・・、耐えるのです。今は生き延びることが先決。力を蓄え・・・、機をうかがい・・・」
ジェネラルの肩が震えています。メイがちひろの手をぎゅっと握ります。ちひろは、師匠がいつか母様になってくれればいいな、と思っているのでした。
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