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場所は秋葉原。
丸メガネにチェックのネルシャツ。もちろん、ジーパンにイン!手には革グローブ。気合の赤バンダナを頭に巻いた芋オタクがいた。
もじもじと人目を気にしている。
火尻 仁(24)
ど田舎県から夜行バスに乗って、明朝、東京に着いたばかりだ。
行き交う人、皆が火尻を見てクスクスと笑う。
火尻は必死に顔を隠す。額には汗。
『何でだ?何でだ、みんな普通の服着てんだ?』
火尻は知らなかった。秋葉原のオタクは既にオタクファッションをしてないことを。
憧れのメイド喫茶を目指し、上京してきた。
看板を持っている路上に点々と立つメイドたち。
その前を何度も往復する火尻。
不審そうな目つきで、あからさまに顔をひきつらせる体型太めのメイド。
『あれ?猫耳?ミミガー?豚?何でだ?思ってたより可愛くなーーーい!』
火尻は心の中で叫んだ!
頭の中では漫画で読んだメイドさんの姿。さらには、美少女アニメやコスプレイヤーで溢れる秋葉原の街並み。
そして現実の秋葉原を駆け抜ける!
視線の先には大型電気店、パチンコ屋、大型電気店、カラオケ屋、大型電気店、メイド喫茶、電気店、電気店、免税店、免税店、ドンキ。
火尻は頭を掻きむしった。膝から崩れ落ちた。
「思ってたのちがーーう!」
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