第1章

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MAYFAIR FANTASY Epilogue メイフェア 「お帰りなさいませ、お嬢様ーって思ったら、なんだ、愛姫じゃん」 「なによ、その言い方は。女王様がこんな所でメイドなんかしてていいの?」 「いいのよっ! 私が女王ー様なんだから。私が決めるのっ!」 「そんなんで、政(まつりごと)が出来るの? 友好同盟を結びに王城へ行ったら、女王様はお留守。メイドカフェでバイトって言うじゃない。あぜーんとしちゃったわよ」 「いいのよ。政治は総理大臣に任せてあるから」 「ああ、なるほどーーーって、ちひろもここにいるじゃん!」  カクテルグラスを磨きながら、ちひろが小さく舌を出します。店の中を見回しながら、愛姫がさらに追い討ちをかけます。 「おまけに、文部科学大臣と防衛庁長官はちゃっかりお嬢様しちゃってるし・・・」カウンターにいたななとあみが、手を振っています。「新しい国作りの最中に、首脳陣がそろってこんなところで油売ってて、大丈夫なの、この国?」 「それだけ平和なのよ。サイゼリア海軍提督様のおかげでね」 「お、おだてたって何も出ないわよ。大体なに、この人事は。ななちゃんの文科相はいいとして、ちひろが総理であみが防衛庁長官? 呼び方を変えたって実質ジェネラルの後を継いだわけでしょう。政府と軍部の癒着が問題になりそうね」  あみは目を閉じてうっとりとしています。 (姫様とユチャク。姫様とユチャク。なんて素敵なヒ・ビ・キ・・・)  メイが、ひらひらと手を振って言います。 「まあまあ、そんなとこに突っ立ってないで、ズズンと奥へ入んなよ」  愛姫がメイに引かれて店に入ると、後ろに左右宇が立っていました。 「きゃー、うこん! 久しぶり? 元気してた?」 「はいですぅ」  愛姫が振り返って言います。 「うちの新しい外務大臣よ」 「へえー、出世したね、うこん。もうすぐ愛姫追い越すよ」  愛姫がジト目でメイを睨みます。 「こ、この待遇の違いはなに?」  カウンターのななとあみの隣に、愛姫と左右宇が腰掛けました。グラスを氷で冷やして、ちひろが聞きます。 「お嬢様、何をお作りいたしましょう?」 「そうねえ・・・、ノンアルコールで、アジサイ色のやつ・・・-じゃなくってぇ、友好条約結びに来たのよ! 早く王城に戻ってよ」  シャカシャカとシェーカーを振りながら、メイが言います。 「いいじゃん、みんないるんだからさ、ここでやっちゃお。ほらほら、書類出しな」
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