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ガラスの子供たち
現場では、今、まさに問題が起こっていた。
一人の凶暴な男の子が、刃物を持って暴れているのだ。
そんなものを持っていると知っていた者は誰もいなかった。うまく隠し持っていたのだ。彼はそれを突然持ち出して、切り付け始めた。それはひどい有り様で、誰も彼を止められなかった。
彼は、執拗に追いかけては、一人の同年代くらいの男の子をめった刺した。
周りの者も逃げ惑い、職員たちは止めようとしたが、恐ろしくて近づけない。みながやめろと叫んだが、彼は言うことを聞かなかった。彼はどうかしていた。追い掛けられた男の子は、あちこちを刃物で切られて、重傷を負った。
暴れた子の名は、高木君といった。とりあえず、その場の後片付けは男の職員に任せることにして、私はその修羅場を後にした。
彼はおそらく、なんらかのクスリに手を染めていたのだろう。今一番出回っているクスリは、ありとあらゆる合成麻薬を経て、またメタンフェタミンの時代がきていた。覚せい剤だ。
ここには、覚せい剤所持または使用の罪で入ってきた子供たちが大勢いる。
ここ、とは、少年院だ。
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