3.扱い方

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「やっばっ、また遅刻」 今日も今日とて、寝坊してしまったディアは、いつもの如く構内への転移魔法を使用していた。 そろりと自身の教室の扉を開くと、物音一つ立てずに教室に忍び込む。 その存在に、まだ誰も気づいてはいない。 「おい、そこのアホ。ばれてないと思ったら、大間違いだぞ」 機嫌の悪そうな低音ボイスと共に、ディアの頭目がけてやって来る鋭いチョーク。 寸前のところで躱し、ばれたかと内心ディアは思う。 そして、いつもの如く猫を被った、可愛いマスクで声の主を振り返る。 「あはっ、ばれちゃいました?」 「ばれちゃいました?じゃねーよ。てめぇは一体、何度寝坊すりゃ気が済むんだ、あぁ?」 「起きようと努力はしてるんですけど……ね?」 「あと十分早く起きりゃ間に合うだろうが。それに、気配殺して入ってくんじゃねーよ。チョークも普通に避けやがって」 悪態をつきながらも、クロバは「はぁ」と大きくため息をつき、さっさと席に着けと促す。
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