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「……里緒……なんでなんだよ……」
ぶつぶつと自分にしか聴こえない声で繰り返し呟くも、答えが出るはずもない。
ふと、昨日の里緒とのやり取りを思い出した。
確か今日は用事があるけれど、その次の日は会いたい。と、言っていた。
まさか、本当に浮気していたなんて――
実際に目の当たりにすると、こんなにもショックを受けるものなのかと初めて知った。
だが、このまま見ているわけにはいかない。
だって、僕は里緒を愛しているから。
誰が見ても勝負はついているのかもしれない。けれど、男なら戦わなければ。
僕はそう自分を奮い立たせると、震える指でスマホを操作して里緒を呼び出した。
『もしもし? どうしたのー?』
いつもの里緒だ。その口調からは、何も隠しているようには思えない。……思えないのに。
「今から行くから!」
僕は唇を噛むと、早口で用件だけを伝え、切った。
電話の向こう側で何か叫んでいた気がするが構わない。一秒でも早く、里緒の元へ行きたかった。他の男になんて触れさせたくない……!
「里緒! いるんだろ!? 僕だ! 開けて!」
タクシーですっ飛ばして来たから、電話を切ってから多分5分程しか経っていない。
「……頼む!」
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