エピローグ

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みのりは膝に乗せている女の子を隣の席に座り直させて、温かいハーブティーを少し口に付けた。 「これが赤い光の物語。」 相変わらず、優しい風が吹き抜けている。 「駿介は青い光に包まれた後、すぐに退院して、すっかり元気になった。サッカー部最後の試合は出場出来なかったけれど、キャプテンとして卒業まで後輩部員を見守っていた。高校卒業してから、私は短大に、駿介は大学に進学した。そして駿介が卒業して無事就職が決まった後に結婚する事が出来たの。」 10年後のみのり。 苗字は明神。 明神みのり、27歳。 「ありがたい事に凄くみんなに祝福してもらってね。結婚してすぐにこの子が産まれたの。」 みのりの隣に座っている女の子の頭を撫でる。 「さぁ、名前を言ってみて。」 みのりの問いかけに女の子は元気よく答えた。 「みょうじんひかり、5歳。ようちえんの年長さんです!」 「これで分かったでしょ?この子に“ひかり”と名付けた訳が。」 「駿介の青い光に包まれてから赤い光を見る事はもう無くなった。」 「今?もちろん、私は世界一幸せよ!」 <終わり。>
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