エピローグ

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「突然どうしたの?」 おしゃれな洋風のバー。 ピアノの音色が店内に優しく響いている。 斉藤は鞄から小さな箱を取り出し、カウンターの上にそっと置いた。 「何これ?」 「開けてごらん。」 めぐみが箱を開けると、指輪が入っていた。 「これ…。」 「この前、誕生日だったろ?」 「どうして私の誕生日を…。」 斉藤はカウンターに置かれてあるウイスキーを一気に喉に通すと、じっとめぐみを見つめながら両手を握りしめた。 「俺じゃ…。」 「え?」 「俺じゃ駄目なのか?」 「駄目って…。」 「小笠原の隣にいる事…。」 (私、今、告白されている?) 「えっと…。」 そのまま、先程受け取った指輪に視線を移した。 (え?) その指輪は徐々に青い光を放ち始めた。 (青い光…、これってもしかして…。) 「やっぱり、駄目だよな…。」 返答をしないめぐみの気持ちを悟り、斉藤は両手を離して少し寂しそうな表情を浮かべた。 そんな斉藤の手を、今度はめぐみが握り締めた。 「私で良かったら、隣に居させて下さい!」
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