召喚儀式

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 なんで俺を喚び出した、なんで俺が戦わなくちゃいけないんだ、なんで勇者にした。  平和と安定した生活を俺から取り上げ、家族や友人や知人の一人もいないこんな世界へと、何故来なくちゃ行けなかったんだ。  勇者ってのは、魔物を殺す道具の名前だろ!  それから戦うことを拒絶した。  そして拷問の末、俺は死んだ。  戦わない勇者など必要がないのだから。この世界の住人ではない俺に人権などなく、ただの戦争奴隷だったのだから。  神とやらには会った。  死んで魂となった俺に、自分の元で働くか輪廻の渦に入るかと偉そうに、まるで慈悲をくれてやると言わんばかりに告げたそれが、いわゆる神だと言うならばそうなのだろう。  種族が違えば考え方も違う。  神という種族からすれば、俺は取るに足りない塵芥なんだろう。  そんなものに声をかけるだけ慈悲深いのだろう。  どうでも良かった。  俺は輪廻の渦へ飛び込んだ。  そして弾かれたのだ。  渦へ入れば魂は溶け、渦の一部になるはずらしい。  俺をすくい上げた管理者は、首を傾げ不思議そうにしていた。  神の目も向かない場所だから、俺をどう扱ったものかと管理者と名乗った黒いモヤは思案げにしていた。  黒いモヤと魂の俺はふよりふよりと漂い、長い時を無為に過ごすことになった。     
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