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唐揚げとゆうたん
「しーもーのーさーん」
「モグモグ...」
「しぃーもぉーのぉーさぁぁん!」
「モグモグモグモグ.....」
「ねえ、無視しないでくださいよ!僕と唐揚げどっちが大事なんですか?!」
「唐揚げかなぁー」
「ひどいっ!」
あぁ...
僕は負けたのだ。そう、唐揚げに!
たかが唐揚げに負けるとかどんだけなんだよ僕...!
カラアゲニストがあるんならカジニストとか作れよ
まじで。
でも肉(唐揚げ)に負けた以上、下野さんを僕に振り向かせる方法を考えなくてはいけない。
うーん...
どうしよう。
分からない。
人ならともかく。
肉なんだもんんんんん!!
そうか、そうだわかった。
唐揚げになればいいんだ、ぼ く が !
というわけでササッと台所に向かった。唐揚げになるには揚げなきゃいけない。でも大きな体が入るわけない。
でもすべては下野さんを振り向かす為。
自分の為。
この身を犠牲にしても下野さんには見ていてほしいから。この僕だけを。
あぁ...病んでるんだなあ僕。
さっき使ったばかりの油だからとても熱い。
今ならいけそうだ。
手を入れてみる。
「っ、ぁぁああああああああああああぁっっ!!」
熱い熱い熱い!やばいまじ熱い
熱すぎて意識が朦朧としてきた。
ドタバタなんか音がする。
下野さん...だ。
「バッカ野郎!!!」
言い終わる前に僕の手は鍋から出されていた。
「なんでそうなったんだよ!」
答えるまもなく視界がシャットアウトされた。ただ、自分の手が凄い色だったのは見えた。
「いいててててて!」
手には包帯が巻かれていた。意識がなくなった後、下野さんが手当してくれたんだろうか。
にしても痛い。
「ぁ.....」
「まずは、何でああなったのか吐いてもらおうじゃないか...!」
んんんー。
やっぱりこうなるのね。
ためらいながら自分の考えていたこと全て言った。
「あれはジョークだから。ジョークも通じないの...?」
なんて微笑んでる下野さんにはこっぴどく怒られたけど、
「ごめんね」
って言った下野さんに最後、キスされた。
終わり
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