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番外編
「――は…くしゅっ」
「祥、大丈夫?」
「ああ、なんも問題ねーよ。太陽見てると、くしゃみ出ることあるだろ?」
例のように永緒と屋上で昼食をとっていたら、ふいに鼻がむずむずして、珍しく大きなくしゃみをしてしまった。
頭上に眩しいものがあるとよく出るが、今日はよく晴れているから、そのせいかもしれない。
「でも、顔赤いよ」
「そうか?」
「うん。ちょっと良いかな――」
隣に座る永緒が、距離を詰めて顔を近づけてくる。
「なっ……なに?」
「こうした方が、分かりやすいでしょ」
すっ、とヘッドホンを首にかけた永緒は、そのまま祥の頬に自らのそれをぴったりと合わせた。
(何でこんな時だけ外すんだよッ)
「だって、こっちの方がくっつけやすいから」
「おい喋るな! くすぐったぃ……」
柔らかい頬を伝って、細かい振動が祥の肌をくすぐってくる。息がかかるほど密着しているせいで、変に鼓動が早まってしまう。
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