甘い蜜

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俺達は、愛し合っているんだ。絶対、別れない。別れられない。 でも、お互いのパートナーとは離婚出来ない、しない。 ならいっそ、このままでいいじゃないか。 「不倫」という言葉で片付けたくない。セフレでもない。 『これは、恋愛なんだ!』 自分たちの求める形態を作り、 お互いのパートナーの足りないところを埋める中になろう。 お互いを大事にしよう。そして、パートナーは、大事にしよう。 友達以上恋人以上、何でも分かり合える仲になろう。 『きっと上手くいく』 そして、月に数回、ふたりの秘密の時間を過ごす。短時間でも満ち足りた関係。 この奇妙な恋人関係を続けていくと、何だか仕事も、私生活も、全てが上手くいってしまう。待ち遠しい二人の時間。これがあるから、今を生き生きと、過ごすことが出来る。 気持ちいい関係。リラクゼーション効果抜群な躰は、お互いのパートナーの不満も気にならなくなってしまう。 穏やかで、楽しく、時にスリリングなこの関係。 体から流れる汗も、お互いから出る精液も、出る体液全てが、媚薬でもあり麻薬でもある、 『甘い蜜』 それを二人で嘗め合う。 穏やかな日を過ごせる薬。 二人だけの秘密の薬。 嘗め過ぎると神経を麻痺させ、溺れさせる。 その歯止めが、お互いのパートナー。 だから、このままでいい。 『甘い蜜は、    少しだけだから美味しいのだ』 甘い秘密の香りが、部屋中に広がっている。 「そうだな。俺達は、贅沢だよな」 *fin*
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