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「うん。 ありがと」 結局それだけで、それじゃ、と手を振って別れた。 ……バカみたいだ。 その場かけっこしているみたい。 バタバタしているだけで全然前に進めていない。 「はぁ……」 家に入り、重い足取りで階段を上る。 「果歩ー。 キッチンの窓からたまたま見えちゃったんだけど、あの男の子、彼氏?」 振り返ると、お玉を持ったままのお母さんが階段途中の私を見上げ、ニコニコというかニヤニヤしている。 「……。 多分」 それだけ答え、また2階の自分の部屋に向かった。 「なーに? その微妙な返事」 お母さんは納得のいかないような声を出してキッチンに戻っていった。        
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