第1話 新たな門出、野望募る学園生活

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「…降参だ。この物騒なものをしまってくれないか?」 ミーシェは小さく両手を挙げ、負けを認めたのだが首元に当てられた双剣が離れていく様子は一向にない。 それどころか心なしか距離が縮まっているような気がする…というよりも、抱擁が強くなっていっている。 「おい、ふざけているのか?勝負は終わったんだ…離しなさい。」 以前に見た時は白く綺麗な指は、血豆で潰れて男らしいものに変わっていた。それがミーシェの?に優しく触れる。 「おい、君は少し前にルルカへ告白したばかりだろう…って、聞いてるのか?」 幼少から騎士団に入り浸っていた彼女は同年代の異性と触れ合う経験はほぼないといっても良かった。 その為、必要以上に動揺してしまっているのが自分でも分かる。熱を帯びて紅潮した?も見れたものではないだろう。 「…毛先が少し傷んでる。もう少し、時間をかけてトリートメントすると良くなると思うよ。」 まさかのダメ出しに?どころか、顔全体が真っ赤になって行くのが微熱を通して伝わって来るのが分かる。 いくら何でも異性に頭髪のことで注意されるとは思わなかった。しかも、下手な女性より髪質が良いので反論し辛い。 「明日の休みは空いてる?王都に良い店あるから選んであげるよ。」 「明日なら空いてはいるが…良いのか。君にとっても貴重な休日なのだろう?」 リュオは団長職に就いているので自分よりも多忙。学業を優先させるために休職制度を適用しているも効果は薄い。 何故なら突発で入って来る仕事の数が尋常ではないからで、授業の最中に抜けていかない日の方が少ないくらいだ。 リュオは事あるごとに新体制の編成が終われば、少しは落ち着くと言っているもその気配は一向に見られない。
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