第1話 新たな門出、野望募る学園生活

11/18
251人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
「まだ、あまり慣れてないから…当たったら許しておくれよ!!」 飄々と軽口を叩きながらも…表情にそぐわないほどの殺意を穂先に込めて全身のバネを使って渾身の突きを放つ。 眼前に迫り来る三叉檄を寸前で水平に躱す。直後、安全柵が貫かれて不安全柵に成り下がるのを横目で見届ける。 「多種多様な武器への変換とその回帰。  有用な特性のようだが…君はその全てを使いこなせているのか?」 それが示唆する通り、三叉檄は不意を突いたというのに躱されている。理由は至極簡単、放たれた突きが遅いからだ。 いや、正確にはリュオの突きが遅いのではない。ラゼルの突きを見慣れているので遅く感じるというのが正しいだろう。 「その練習を兼ねての…訓練だろう?」 三叉檄を横に薙ぎ、不安全柵を量産するも…悪手であった。無理な体制の上に安全策に干渉したため速度が殺される。 反対にそれを好機と見たミーシェは姿勢を低く構える。三叉檄の真下でやり過ごしながら軸足に力を込めて行く。 「それなら私も断言しよう。今の君の槍技は…ラゼルのものより遥かに劣る。」 利き手を開き、指先のみ閉じて掌打の形を作り上げ…リュオの懐に潜るのと同時に臓器へ向かって真っ直ぐに突き出す。 しかし、突き出した掌から伝わって来るのは肉の柔らかな感触ではなく、少し前に感じた硬い金属のような感触… 「ver.2、双剣。これにて決着ってことで良いよね?」 掌打を三叉檄から分離させた双剣の腹で受け、もう片方の双剣を背後から抱き寄せるかのように首元に当てる。 差し詰め、死の抱擁といったところだろうか?動きを封殺されたミーシェは敗北を受け容れるしかなかった。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!