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斉上の乗っていたのは事務所のものらしい白いバンだった。
助手席に座った漱子は窓際に頬杖をつき、外を見ていた。
手には管轄の署に場所の確認をしたときのまま、携帯を握ったままだった。
「まっすぐ現場に行って大丈夫か?」
さすがに少し遠慮がちに斉上が問う。
「遺体の確認は向こうの両親がしたらしいけど、あそこの署の友達は現場に行ってるみだいだから」
「じゃあ、榊原の親も居るのか?」
「もう帰ってるでしょ。
私とは顔を合わせたくないだろうから」
「どうして?」
「私のせいだからよ。
知ってるんでしょ?」
挫折を知らない人間って弱いわね、と漱子は言った。
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