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「ここは、あなたのような人がいていい場所ではありません」
それは雅からの、はっきりとした拒絶だった。
「出ていってください」
――!!!
雅は理奈の目をまっすぐに見つめている。
その瞳は、酷く冷たい。
怖い……。
理奈は恐怖で何も話せずにいると、雅はなおも続けて言った。
「裏の門を知っていますか?」
――裏の門……。
昨日、屋敷の中は五条に案内してもらった。
理奈は恐る恐る頷く。
すると雅は、おもむろに着物の袖に手を通すと、灰色の物を取りだし、理奈に差し出した。
「裏の門の鍵です」
「え?」
恐怖と混乱でパニック状態の理奈には、何がなんだかわからない。
「出ていって」
雅の、低い声が響く。
「今すぐここを出ていきなさい!!!」
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