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12月24日の夜:クリスマスイヴ
ホリーは、歩いていた。寒い冬の雪が道に積もっている中を・・・。あまりの苦しさの為か、寒さも感じない。そして、大きな屋敷の暖かい場所で、弟ウィルがクリスマスを祝っている姿を、ぼんやりと見る事ができた。
とても嬉しかった。
ホリーは弟の姿をみて、その場で倒れた。その顔は幸せで満たされていた。
ウィル・・・ごめんなさい。幸せになってね・・・
ヒヒーン!
大きな馬車が倒れたホリーの前に止まった。
「なんだ・・・てっきり弟のウィルに逢い に行ったのかと思ってたが、全然違う場所でこときれてたのか・・・。手間取らせやがって。」
馬車から下りて来たのは、ホリーの主人だった。主人は痩せ細ったホリーの体を軽く持ち上げ、荷台に無造作に乗せた。
もちろん、街の人たちが黒人の子どもの亡骸なきがらを乗せている男をみても、誰も驚く者なんていなかった。
そのまま馬車はホリーを乗せて走り去った。もう自分の意志で動くことのないホリーの体は馬車の揺れに規則正しく動くだけだった・・・。
その夜は、雪が降ることは無い寒い夜だったが、とても綺麗な星空が空一面に広がった素晴らしい日だった。
ホリーの顔は弟に最上の【クリスマスプレゼント】を与えることが出来たことの満足からか、やすらかに微笑んでいた。
『クリスマスプレゼント』
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