告白

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「須坂、ちょっといいか?」と呼び止められた私は、顔をそちらに向けた。  同じクラスの男子の姿がそこにあった。名前はえっと確か…何だったか、そう…あれよあれ…ここまで出ているのにーおかしいなーあれだなー、いわゆる度忘れってやつよねー。決して関心がないからと言うわけではないと思うのだけれど、おかしいなー不思議だなー。 「ちょっと話があるんだ」  私が脳内検索をしているのを、無言で話の続きを促していると解釈したのか、目の前の人(絶賛名前思い出し中)は会話を進めてきた。あ、確か野球部の人だった気がするなーという記憶が出てきた けど名前は未だ出てこない。 「…実は前々からお前のこと気になっててさ、須坂さえよければオレと付き合ってくれないか?」  What? おいちょっと待って、ちょ待てよ! 何かいきなり告白されてないか私? 名前も思い出せ…じゃなくて鋭意思い出し中の野球部らしき…あ、確か野球部のエースだった気もしてきたぞ。野球部のエースだったらそれなりにモテるんじゃなかろうか? 外見的にもそこそこな感じだし…あ、名前に水っぽい漢字が使われてた気がする。ついでに1つ思い出した。こいつ、女の子と付き合う→突く→飽きる→別れる…というサイクルが早くて、色々な子と付き合ったんだよねーモテて困るわーリアル充実し過ぎて怖いわーというニュアンスのことを自ら吹聴してるクソ野郎だ。ただし、プレースタイルとかが色々な意味で早い(速い)ので、“速球くん”とも呼ばれているのは本人の知らぬところでもある。 「ごめんなさい。いまいち名前も覚えていないしそんなに興味もないし穴姉妹も欲しくないので、あなたとは付き合えませんと言うか付き合いたくありません」  あ、ついつい本音が出ちゃった。ま、いいか。
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