第二章:救助を待つ

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この涼しい表情が少し憎らしく思いそうになってしまう。 「望月さん、電話線直せるんですか?」 即席の嘘をあっさりと信じたオーナーが、期待を込めた目であたしを見つめている。 ぶっちゃけ電話線の修理なんてできるわけないのだが、ここでそれを認めたらあたし自身が支離滅裂な言動をする変な人みたいになってしまう。 「い、いやぁ~、あたしと言うか、イデアが。この子、機械の修理とかはできないんですけど、状態を見れば修繕可能かどうかわかるプログラム入ってるんです。直し方の手順とか説明もしてくれるし」 頭で考えるより先に飛び出す言葉は、自画自賛したくなるくらいにはうまいことが言えてるなという手応えがあった。 都合が悪くなったら、イデアを利用する。まだ謎がありそうな機械だし、周囲も納得する言い訳ができるはずだ。 「へぇ……。最近の機械は本当に何でもできるんだなぁ。うちでも少し勉強して、役に立ちそうなシステム導入しようかな」
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