第二章:救助を待つ

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あたしも会話に参加しながら、いくつも並ぶスイッチを見ていると、全て同じ温度に設定されているのもわかった。 各スイッチの上にはシールが貼られ、『ダイニング』や『客室一』等、該当する場所であろう名前が記されている。 「そうですねぇ、確かに安くはありません。でも、暖房は冬場だけで、夏はエアコンがなくてもこの辺りは涼しいですから。ありがたいことに、季節を問わず年中お客さんも来てくれていることもありまして、どうにかやっていけてます」 「へぇ……夏が涼しいのはちょっと羨ましいかも」 あたしの家は、クーラーなしではとてもじゃないけど耐えられない。 冷静に考えてみたら、あの暑さの中にP.Uを放置したらイデアも壊れてしまうのではなかろうか。 「希、電話線を見せてもらって」 つい半年先の心配をしてしまうあたしの耳に、イデアが淡々と指示を放り込んでくる。 「あ、うん。すみません、ちょっとだけ確認させてもらいます」
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