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#01「魔法の世界!?」
添ノ沢小春は特殊課のオフィスで一週間前の森林エリアでの迷い人保護に関する報告書を書いていた。
「(あー報告書面倒くさいなぁ。サボりたいなぁ)」
迷い人として保護されたのは10代辺りの少女で特に身分を証明するものが見つからなかった。本来なら家族が見つかればすぐに身元も判明して事件直前までの行動も聞ける可能性がある。小春は取り敢えず、先日発生した「神隠し事件」に関連がないか探っていた。
深森ヶ丘市ではここ数年人や動物、植物、物までが突如として凶暴化したり逆に石のように動かなくなったり、姿が消えたりするという不可解な出来事が増えている。この現象の影響を受けた人の中には幻を見たり、感覚を遮断されるケースもある。
また一人がそのような症状を発現すると周囲に感染する様に同じ様な現象が拡大していくパターンもある。
そんな不可解な事件や事故を担当する部署が「特殊課(仮)」。この現象の影響を受けた人の対応や受けた人・動物等が起こした事件・事故に対応する為に急いでたてられたのでまだ仮の段階だ。
少女に関する捜査をどうするか悩んでいると同僚の蔵杜乙夜が声を掛けてきた。
「神隠しの件?」
「うん」
「一週間前に保護した人が最後だって聞いたけど?」
「“今のところ”だけどね」
「まだ行方不明者居たんだっけ?」
「捜索願が出されてる人は全員見つけたけど、捜索願すら出されていない人も居るようだしなんとも言えないかな。ほら、この前の子もどうやら捜索願が出された訳では無かったから」
「元々家出していたとかでも無いのか?」
「家出にしては荷物が無い。もしかしたら無意識に巻き込まれてしまった人かも知れない」
小春はため息をつくと同時に通報が入る。無線の内容を聞いている署員達でフロア一帯ががざわついている。
「何か騒がしいね」
「自分達の出る幕では無さそう」
「…そうだといいんだけどねぇ」
「縁起でもない」
すると小春の予想通り、あっさり特殊課の二人が現場に向かうように指示が出されてしまった。
「ほらね!」
「はいはい」
二人は言われた通り、現場に向かった。
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