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 けれど、揺らめく光。  縄が肉に食い込む度に、微かに漏れる吐息。  額や胸に汗を滲ませる本郷を労わるようにして、ネットリとした赤い舌を顔や体に這わせる瑞浪。 「しっかりその目に焼き付けなさい」とでも言うかのように、ゾクリとするような色気を孕んだ視線。  体の自由が奪われるということは、本能的に恐怖を感じる筈なのに、安心しきったように自分の全てを委ねている本郷と、そんな彼を優しく包み込むような「女」の表情。  それら全てが何故か、梶浦の感情を昂ぶらせる要因となり、鼓動を激しくさせ、男の象徴であるものすらいつの間にか誇張させていた。  傍から見たら、恋人同士の情事を他人に見せるというアブノーマルプレイのような異様な状態に何故なっているのか。  それは数十分前に遡る――――
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