第1章

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モニターに映し出されているのは吐き気を催す物だった。 2時間程前に食堂で昼食を共にした同僚達が、全身の穴という穴から体液を吹き出し、のた打ち回り絶叫を上げ息絶える。 此処は軍の秘密地下細菌研究所。 私達が今閉じ込められている研究室で実験の結果を見ようとした矢先、突然警報ブザーが鳴り響き研究室のドアが自動的にロックされる。 共に閉じ込められた部下がモニターのスイッチを入れた。 映し出されたのがこの地獄絵図、ロックが間に合わなかった研究室の研究員や通路にいた警備兵達が次々と惨たらしい死体に変わって行く。 南極の氷の下から採取した未知の病原菌を、幾つかのチームがそれぞれ研究を行っていた。 その未知の病原菌を、私達以外のチームのどれかが漏らしたのだろう。 モニターを見続けていた私に部下が声をかけて来る。 「主任! 見てください」 振り向き部下が指差している物を見た。 指差された所には10個のガラス張りの飼育箱が置かれている。 飼育箱1つ1つにモルモットが1匹ずつ入れられていて、その全てが元気に動き回っていた。 私のチームが行っていた実験は病原菌のワクチンを作り出す事。 モルモットが元気に動き回っているっていう事は、ワクチンの製造に成功したという事を意味した。 私は地上で研究所の閉鎖の指揮を執っている所長に電話して、迎えに来てくれるように連絡する。 もっとも、迎えが来ても防護服が無いこの研究室から出る為には、私達自身がワクチンの人体実験のモルモットにならなければならないのだが。
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