第2章 夜ちゃんのさほど華麗でもない性的遍歴

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彼はわたしにクラスコンパのことで訊きたいことがあるんだけど、と持ちかけてきた時と変わらない態度で平静に話を続けた。 「初めは恋人との仕方が普通過ぎて物足りない、もっといろんなこと沢山の相手にされたくておかしくなりそうって女の子が何人かいて、それを何とかしてあげるために男を募ったって始まりだったみたいだね。だからとにかく女の子を皆で気持ちよくさせてあげるのが何より優先。こういうやり方じゃないと感じないとかもっとこうしてほしいとかの要望も遠慮しないで申し出てね。女の子が気持ちよくなってると男の方も愉しいし、盛り上がるから。…あ、アルコールとドラッグは絶対厳禁。限度を超えたり理性が飛んであとからそんなつもりじゃなかった、って言い出す子が出て問題になったらやばいから。必ずちゃんと明晰な意識のある状態で、自分の意志で参加するのが絶対条件だよ」 わたしは思わず顔を上げた。…ちょっと、意味がよくわからないけど。 自分の意志?そんなのここに来る前も来てからも、誰にも一度も確認されなかったけど。一体どういうこと? こっそりと隣の同じクラスの女の子を盗み見る。わたし以外の子はちゃんと意志を確認してもらってるってこと?それともそんなの、ただの建前でしかないのかな。 わたしの目線から何かを感じ取ったのか、彼はさすがに少し気まずそうな笑みを浮かべた。 「まぁ…、矢嶋さんの場合は、ね。ちょっと。…こっちで勝手に適性を見込んで当たりをつけたってとこはあるけど。でも、見誤りはなかったでしょ?正直ここまでうちのクラブ向きだとは…、やっぱり声かけてよかったよ。放っといたらこんな原石、埋もれちゃうとこだった」 わたしは唖然となった。何言ってんだ。 身体の反応が激しければそれでいいってことか。わたしの意思決定とか気持ちはどうなるの? 彼の隣に座った男の子がこっちに上体を傾けて話に割り込む。 「本当、お前たちでかした。近年最大の収穫だよ。見た目大人しそうで控え目だから、もしかして嫌がって泣いちゃうかな、とちょっと冷や冷やものだったけど…。まさか、あんなにね。すごかった、いきなりあんな風に…、意外と場慣れしてんの?君。複数を相手にするの実は経験済みとか」 わたしは思わず憤然となった。 「まさか。…普通あんなの…、考えもしません」 その男は実に嬉しそうにパスタのフォークを手に取り言葉を続けた。
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