第1章

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しかし、そんな人間のお粗末さに絶望した神の怒りにて大洪水にて裁かれようが…ノアの方舟よろしく1つのつがいが残っていれば我らは過ちを正し未来に繋げることが出来るはず。 ゆえに、我々は称えねばならないのだが啓蒙活動はやはり自我の形成前の子供の頃から始めるべきか。 しかし、そんなことは人間社会が許さない。 汚れきった地上の人間に我らが祝福を説き伏せるには、私の貧弱な寿命では足りなすぎる。 そうなると、不老不死の研究から始めなくてはならない。 そういった文献など確かネットにいくつか検索をかければ…。 私はひたすらスマホで情報の検索を立ち上げた。 そういった薬が開発されている…若返りを繰り返して寿命を伸ばす…果てはロボットに脳を移植する。 もはや荒唐無稽だが創作界では珍しい話ではない。 そもそも、創作から得たヒントから現実に生まれた存在などいくらでもあり…それは人間の世界を豊かにしてきた。 創作とは虚構社会の誕生そのものであり…その種は現実社会の必要とするべくものの投影だ。 必要だから虚構に投影し、理想を描く…理想に共感した者が現実に物語という形にし…社会に広める。 つまり、我々はアレを社会に広めるにはもっと根源的なところから拾い上げなくてはならないということか。 なんだ、思ったより簡単なことじゃないか。 アレを主人公とした作品を片っ端から書き続ければ良かったんだ。 社会に認められるまで。 なら、今日は我が分身の誕生日だな…愛でることにし…研究しよう。 形…色…匂い。 そのすべてを余すところなく感じ取り、記さねば! 私はアレの誕生パーティーをするため、お手洗いに向かった! 生まれてすぐ、チョコソフトの上半分かチョコケーキの絞り出しのような色ツヤを愛でる。 カレーに例えられるが、私はチョコのバースデーケーキに見える。 自ら祝福を形づくるとは、なんと愛しい存在だろう! 私はこの感動を生誕とともに祝おう! 「ハッピーバースデー!」 お手洗いの前で歌いながらかがみこんだ私はさぞ滑稽だろう。 だが、私は祝うことで幸せになれた…新たな主人公と冒険の誕生に祝福を!
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