第1章

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「もう秋だね」 千秋(ちあき)は窓の外を見た。 目の前の紅葉が目にしみる。 休み時間。 千秋たち四人は、千夏のテーブルの前に集まっていた。 「あたいの好きな夏は、もう終わっちゃったか…」 千夏(ちか)は、頭をポリポリと掻いてから、座りながらにして後ろにのけぞった。 千夏の後ろに座っていた男子が「ウァオ」と言って身を引いたが、 千夏の顔を見ると、何だお前かという表情をして、そのおでこにデコピンを飛ばした。 千夏は「痛てーなー」とボヤくものの、体勢を変えなかった。 「確かになんか、日差しとか気温とか、変わってきたよねーー」 千春はのんびりとした口調で言った。うふふと笑う柔らかな表情は、いつも和みをもたらしてくれる。 うん、と千秋は頷いて、冬美を見た。 「じゃあ、冬ももうすぐかな…」 クスッと笑う冬美は、やっぱり…綺麗だ。本当に。
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