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「一応、課長の俺に一言もないのはおかしいでしょ」
「だって…なぁ」
「なぁ」
おじさんたちは顔を見合わせると
「俺たちも今日知ったからー」
嘘をつけ、嘘を。
「俺は」
「私は」
「承服しかねます!」
ハモった。
「承服しかねるったってねぇ」
斎藤がソファに深く座り、メガネを拭きながら独り言のように言う。
「俺たち、所詮、サラリーマンなんだし」
「そうだなー。上の決定には従わざるを得ない運命なのよ」
田中が眉をしかめながらぼやき調に続ける。
「ま、夫婦してた間柄なんだしさ、仲良くやってよ」
「その記憶、削除してもらっていいですか?」
真紀と晴彦が同時に言った。
「ほら、息もピッタリ!期待できるなぁ!」
のらりくらりと躱す古狸二匹と、晴彦。これからの事を考えると目眩がした。
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