色と欲

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「振った理由って何? 陽介のことが好きだから?」 「は?」 「そういう噂、流れてるよ」 「だったら面白いけどな。 男なんて、好きなわけない」 「ふぅん。 ノーマルなんだ」 「それも違うかも。 女も嫌いだから」 「?」 「恋愛とか興味ないし、面倒くさい。 トークとかケンカとか、その他もろもろ。 そんなのに時間さいてるのもったいなくね? もっと自由に他の好きなことしてたい」 「へぇ」 「食わなきゃ死ぬし、寝なきゃツラいけど、恋愛なんてしなくても、生きてけるだろ」 「ウン」 何となく思う。 何にも知らないくせに、わかったようなこと得意げに語る、こんな相手に告白したなんて、由衣はかわいそうだな。 好きな男の口から聞かされたら、女として、ずいぶん惨めな気持ちになるだろうな。 女として……惨めな思いを……。 「すげぇくだらないと思う。 もっと悩まなくちゃいけないこと、いっぱいあるじゃん。 オレら。 勉強とか将来とか日常のこととか。 今しかできない遊びだって……」 「あぁそうだね。 ちょっとこっち向いて?」 「え? 何? ……んぐっ」
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