6人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
ア然としたのは周囲の人々だ。
小さなバス停での出来事で、周りにいたのは3人。夏休み中の登校日らしい高校生の男女と30代と思われるスーツ姿の青年。
皆一様に仰天して、昭雄から距離を取りながらその有り様を見ていた。
ぐぐ・・・ぐぐぐ・・。
それは一度では終わらなかった。
何が起きているのか分からない昭雄の右手が、また何かに引っ張られる。
今度は、肩から肘までを動かせないように押さえつけた何かが、肘から先だけをぐいぐいと外側へ引っ張っているようだった。
「お、おお」
周りに人がいるのは見えていたし、昭雄はこの症状を目にしたこともあったが、身体の一部が勝手に動く恐怖と気色悪さは吐き気をもよおすほどで、助けてと口にする余裕などなかった。
ぐぐ、と肘から下だけが引っ張られて、右肘に軋むほどの負荷がかかる。痛みと痺れが猛烈な嫌悪感を伴って、昭雄を苛んだ。
(痛い! お、折れる、折れる・・・っ!)
最初のコメントを投稿しよう!