あの日の青いネコ

2/9
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 人生の師とも言える先生が理想とした人間とロボットがともに生きる世界、その世界を現実のものとする第一歩を私が踏み出そうというのだ。  しかし運命を感じたからと言って全てがドラマティックに展開して行く訳も無く、夢中だったからと言って机上の空論だけでロボットの製作が出来る訳も無く、技術的にも社会的にも金銭的にも問題は山と積まれ、その高さは富士山よりもマッキンリーよりもコジオスコよりもヴィンソンマシフよりも高かったが、エベレストよりは低かろうと自分を慰めた。  私はまず、周りを説得する事から始めなければならなかった。なにしろこの企画を聞いた人々の反応は一様に困惑するだけの表情を浮かべて私を変人扱いするのが常で、社内にも社外にも理解者はただの一人もいなかったのである。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!