ら組

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ら組の事務所では、組員同士での、怒号が飛び交っていた。 「おいっ!さっきから、何ニヤニヤしながら、  俺を見てんだよ!」 (る)が(ろ)を怒鳴りつける。 「いやぁ、へへっ」 「てめぇ!なめてんじゃねぇぞっ!」 (ろ)に掴みかかろうとする(る)を、二人の間にいた(れ)が止める。 「ちょっと(ろ)さん、落ち着きましょうよ」 「落ち着いてられるかよ!  おい!(ろ)!  言いてぇ事があんなら、言ってみろよ!」 (ろ)は、ニヤつきながら、答えた。 「いやぁ、前から思ってたんスけど、  (る)さんて………俺の真似してますよねぇ?」 「ああん?ふざけんじゃねぇよ、  (る)の方が(ろ)より先にあるんだから、  (ろ)のてめぇが、真似してんだろうが!」 「えー?そうっスか?  でも、どうみても、スタンダードな形は、  (ろ)の方でしょ?  (る)は下に、なんか丸いの履いただけじゃないスか」 「おいおい、ふざけんじゃねぇよ!コノヤロー!!  そんなこと言うんなら、  ちょっと、(ろ)のつく人の名前の代表作を  言ってみろよ!」 「は?何を言ってんスか?」 「人の名前の代表作だよ!  俺の(る)の、代表作は  『るい』とか『るな』とかあんだよ!  お前は、(ろ)の名前の代表作を言ってみろよ?  (ろ)の名前なんかねぇだろ!」 「ありますよ……(ろ)の代表作は………  『イチロー』でしょ?」 「はぁ?ふざけんじゃねぇよ。  それは、『い』の代表作だろうが!」 「何言ってんスか!(ろ)ですよ!  『たろう』も『じろう』も『さぶろう』も、  全部(ろ)がいなきゃ、まとまんないでしょうが!」 「ふざけんじゃねぇよ!」 (る)は(ろ)に、テーブルの上の灰皿を投げつける。
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