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賑わう学生達の中に、瑞樹達の姿を見付けたのだ。
もちろん瑞樹もこちらの存在には気付いていて、鋭い目が「どういうことだ」と訴えていた。
悠平が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「どうしたの?ちひろちゃん。顔色すっげぇ悪いけど」
「え!?そ、そそそそそそうかな!?」
「やっぱり打ち所悪かったんじゃ……」
「大丈夫だよ!私、体だけは頑丈だから!」
流れ出る冷や汗を拭いながら、ちひろはアハハハハと笑い飛ばした。
そしてタイミングを見計らったかのように、瑞樹から携帯にメッセージが入った。
『どういうことだよ。隣の男とイチャついてたのか?』
イチャつく、と言う文面に思わず赤面してしまう。
『同じクラスの友達だよ!遅れてすみませんでした!(土下座)』
『それは仕方ないけど、どうすんだよ。鉢合わせとかごめんだからな』
ちひろはうっ、と唇を噛む。
『なんとかするよ』
『どうやって?』
『バス、一本見送るよ』
メッセージを送ったあと、ちひろは顔を上げて悠平に言った。
「櫻君、私、一本バス見送るよ」
「どうしたの?突然」
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