恋するために、東京に行きます

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揃わないものを嘆くよりも、その方が、うんと楽に生きられる。 私もきっと、そのうちに、今の自分を受け入れる事ができるだろうか。 私がまだ、子供だった頃。 大人になったら、結婚なんて、自動的にできるものだと思っていた。 だって、周りにいた大人の女性で、結婚していない人なんていなかったから。 どんな人だって、時期さえ来れば、自分にぴったりの人と出会って、結婚できると思っていた。 私の過ちは、大人になっても、そう思い続けていたことだ。 リビングに行くと、お母さんが、私を眺めて、顔をしかめた。 「せっかくの休日だっていうのに、この子と来たら…寝間着なんて着たまま、1日中家から出ないつもり?誘ってくれる男の1人もいないなんて、情けない」  私は、台所に行くと、冷蔵庫からミネラルウォーターをコップに注いで、一気飲みした。 毎度の事だけど、朝から、憂鬱な気分。早いとこ、朝食を食べ終わってここを脱出しよう。 リビングに戻ると、お母さんの悲痛な叫びが轟いた。よく通る声をしている。それだけに 聞くのが辛い。聞きたくない。 「あこ、ちゃんと、お母さんの話、聞いてるの?お母さんだって、好きでこんな話しをし ているわけじゃないのよ。でも、あこがあまりにも、結婚に無関心だから。心配でたま     
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