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「それじゃ、ここでね。
真っ直ぐ帰らなきゃだめだよ。」
宮原先生がひらひらと手を振る。
その前を瀬崎先生が歩いていく。
「ちょっと、置いてかないでよ。」
そう言って、宮原先生が慌ててその後を追いかけて行った。
自動扉を抜けると、2人は並んで暗闇に吸い込まれて行った。
「…仲直り、って言ってたけど、先生俺らが付き合ってたの知ってたのかな。
興味なさそうなのに。」
ーそう、知ってたんだよ、私が言ったから。
絶対誤解されてしまった。
今私が好きなのは、先生なのに…
「それにしてもあの2人さ、絶対付き合ってるよな。妙に親密そうだったし。
同期の飲み会ってのも怪しくない?」
胸がズキンと痛む。
栄太にもそう見えたのか。
「確かに、ちょっと怪しかったよね。」
必死で笑顔を取り繕う。
ー果たして、私は今、きちんと笑えているだろうか。
目の前のおでんを見つめながら、意識は完全に先生達のことに囚われていた。
もはや何が食べたいとか、そんなことはどうでもよくなっていた。
その後栄太と一緒にイートインでおでんを食べたが、味がよくわからなかった。
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