28人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
「そうですか、ホッとしました。でも、念のためにあなたの記憶を操作します。ぼくたちのことをしゃべろうとしても、できなくなります」
「記憶を操作?」
さらりとすごいことを言ったぞ。
「はい、思い出せなくなるんです」
「じゃあ、このお金は……?」
「迷惑料、とお考えください。では」
男は会話を終えようとしていた。
「ちょっと待って。あなたの本当に姿は……?」
リビングにも夕焼けが侵入してきていた。部屋の壁紙も朱く照らされて。
「ぼくの本当の姿は」
男の顔の輪郭がぼやける。そして、人間とかけ離れたシルエットを形成しだした。
しかし、三条の意識はそこで途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!