海西高校文化祭

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「クラスの人達は私達をそのランチタイムに入れたかったみたいだけどね、当日は彩楓ちゃんと回らないといけないし、そこは外してもらったの」 「正直ブロマイドでかなりの利益が上がるでしょうし、この際オムライスは出なくてもいいかな、ということで、収入源としてはたいしてアテにはしてません」 つまりA組の主力商品はブロマイドになるようだ。 それならいっそ写真店にすればとも思うが、さすがにそれは体裁上の問題があるのだろう。 あくまでサービスの一環とすることで生徒会や教師陣の監査の目をくぐり抜けたとのことで、普通ならばなんの問題も無さそうなものだが、この場にいる三人に限ってはもう一つ、大きな問題がある。 「……そういえば、事務所的にはいいんですか? 二人の写真販売なんてしちゃって」 未だに実感が湧かず、すっかり忘れていたがこの場にいる三人は仮とはいえ天城も所属する白井アイドルプロダクションに所属している、末端も末端ではあるが今は業界人。 勝手に写真などを商品にするのは問題になりそうなものだが、それを伝えると百合さんは「問題なし」と頷いた。 「企画段階で一応聖夜さんに確認をとりましたけど、こっちの裁量に任せると丸投げ……もとい一任してくれましたよ」 「適当すぎませんか」 「あとは事務所にある衣装をいくつか無料でレンタルしてくれましたね。古いものは仕立て直しちゃったりしたみたいです」 「ノリノリすぎませんか」 「次の仕事の参考にするとかなんとかで。代わりに後日何枚かの写真を提出することになってます」 聞いたところによると、今美月が着ているメイド服がその仕立て直した衣装らしい。 なんにせよ一番高くつくであろう衣装代がほぼゼロで済んだのは大きいようで、なんとか学校側から支給される限られた予算内で出店の用意が整えられたとのこと。
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