第1章.目まぐるしい一日

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「―――好きです、付き合ってください」 人生初の告白。 初めて想いを伝えた瞬間。 不安でいっぱいで、情けないながらも足が震える。掌にはアホみたいに汗が滲み、心臓が狂ったようにバックンバックン鳴っている。 覚悟を決めてきたというのにこの有り様。呆れて物も言えないくらいにカッコ悪い。男ならドンと言い張って然るべきだろう。 でもそんなことを言ったってこの緊張は仕方ないじゃないか。不安なのも当然ではないだろうか。 …ああ、怖い。 俺は頭を下げたまま正面に立つ一人の少女の返事を待つ。彼女がどんな顔をしているのか、どんな気持ちなのかはわからない。だからこそ怖い。 顔を上げるのが怖い。情けない限りで、もう返事を聞くとかよりも彼女の反応の方が怖 「私も、実は好きでした。よろしくお願いします」 …………………………。 ! ……? ??? !!!??? 「へあ!!?」 「ほわっ!?」 ガバリと顔を上げると同時にすっとんきょうな声が飛び出た。そんな俺に目を丸くして驚く少女を見て、俺は今しがた聞いた言葉を脳内で再生し、恐る恐る………、 「……つ、つまり…オッケーってこと…?」 「……うん」 顔を赤くし一度だけ頷いたのを見て、全身に激熱な何かが満ち溢れてきた。
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