第十四章 月が知っている 四

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 今から開発しても、売れ筋になるには時間がかかる。 ならば、埋もれている商品を発掘してみよう。  そこで、気になる品物のサンプルを借りてくると、設計図を探して眺める。 競合メーカーの品物をサンプルで持っているはずなので、借りてきてバラす。 バラしたパーツから設計図にしてみた。性能表を見ながら、パーツを見比べてみる。 「それ、いい商品だろ?」  後ろに柴田が立っていた。 「競合メーカーだけどね、これいい商品だ」  ウチの品物が敵わなかっただけある。 「ウチのもいいのだけどね、スペックが下だよね」  柴田も気になる商品らしい。 「うん、下だよね。でも、その分、価格を安くできるよ」  高スペックでいい商品だが、これは、かなり高価であった。 K商事で出しているものは、量産に適していて安価になっている。 この量産に適した設計のせいで、性能がついていかなかったのだろう。
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