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「それにアナタ、先ほどからこの関所を抜けようとしているでしょう?【これより先に関所は設けてない】のに、どこでどうやって尋問しようとしてるのですか?」
テトラが言葉を紡げば紡ぐほど、周囲の兵たちもシェーザに疑いの視線を向ける。
テリーはひっそりと縄を切り、いつでも動き出す準備を始める。
不穏な空気が流れ始め、シェーザの次の言葉がすべてを決める。
そんな雰囲気の中、シェーザは覚悟を決める。
「それは....尋問なんてする気ねぇからだよッ!!」
シェーザはそこで思いっきり馬の腹を蹴る。
馬は驚きと痛みでその場で大きくいななき、シェーザたちを振り下ろそうとする。
しかしその直後大慌てで馬は駆け出し、一瞬でトップスピードに乗ろうとする。
「『動式鋼壁』起動!」
しかしテトラの合図で待機していた兵士達が例の兵器を起動する。
脚にタイヤのように滑車を装着させた横に長い柵がガラガラと兵士によって運ばれる。
貼り付けられた鉄板は馬では到底ぶち抜けるものではない。
シェーザもそれを理解したが、既にトップスピードに乗った馬を避けるようにできなかった。
「飛べ団長!」
シェーザはユルカの袋を大事に抱えると馬から飛ぶ。
後ろで静かに待機してたテリーだったが、シェーザの言葉に反応するなり思いっきり馬から飛び降りる。
ユルカを傷つけないように着地したシェーザとなんとか無事降りることができたテリーはその兵器の本当の姿を見る。
「起動!」
兵士の合図と共に前面に出されていた鉄板が外れる。
その中から鋼鉄製の棘が内側より勢いよく飛び出す。
憐れにも馬はブレーキをかけることもできず、馬はそのまま鋼壁へと突っ込む。
鋼の槍が連なったソレに馬は止まることもできず、胴体に突き刺さり悲痛の叫びをあげる。
ジタバタと逃れようとするが、槍は抜けることなくそのまま馬はショック死する。
シェーザはその光景を見ながら現状のヤバさに汗を垂らす。
あの滑車がこのまま前に来た場合、逃げ道は一つ。
後ろに逃げることしかできず、前に進めばそのまま串刺しになるのは間違いないだろう。
しかし背後では既にテトラの指揮の元、兵士達による包囲網が確実に作られていた。
少し関わっただけで抜け目がないとわかるぐらいだ、既に近くの部隊に向けた伝令も走らせていることだろう。
シェーザは現状をどうにか突破できないかと頭をフル回転させ始めた。
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