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姉妹
私には妹がいた。
先天性の疾患を持っていて、親は常に妹につきっきり。でも、病気だから仕方がないと、ずっと我慢していたけれど、親に甘やかされた妹は我儘になり、私が言うことを聞かないと途端に不機嫌になった。
私は病気なのに、どうしてそのくらいのことをしてくれないの?
健康な体に生まれていたら、綿ならそのくらい喜んでしてたよ。
いつもそう言って私を責め、いばりちらしながら被害者ぶっていた。
そんな妹は、中学の入学を待たずに死んだ。
周囲の手前、悲しむフリをしたけれど、悲しむことなんて何一つなかった。本当は涙の一滴すら出なかった。
妹が死んでからも、親はあまり私に関心を示さなかったけれど、それはもうどうでもよかった。元々空気のようだった私としては、その空気にすら当たり散らそうとする存在がいなくなったことが喜びだったからだ。
妹の死から十年近くが過ぎ、私は縁あって一人の男性と知り合い、結婚した。
親は喜んでくれたけれど、祝う言葉の端々に妹の存在がちらついて、家を出た後、私は実家と疎遠になった。
愛する人との、二人きりの新婚生活は幸せで、日々を楽しく過ごしていたある日、妊娠していることが判明した。
夫は心から喜んでくれれたけれど、私は、何故か漠然とした不安に襲われた。
この子を産んだら何か良くないことが起こりそうな気がする。
そんな予感が募るものの、せっかくできた子供を殺すことなど考えられず、夫と共に子供が無事に生まれて来ることを願った。
そして迎えた出産の日。
陣痛の苦しみの中、頭の中に声が響いた。
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