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「じいさん、ここ空いてたな。新入りだ」
そう言ったのはここ聖地を取り仕切る世話役だ。タカさんと呼ばれている。
「ああ」
答えたのは70歳は超えていると思われる老人だ。癖なのか病気なのか、時折ピクリと足を震わせる。ただ、本当の年齢はわからない。聖地にいる住人は汚れた服を着て、髭も伸ばしている。10歳前後、読み間違えている可能性はある。もしかすると私とそれほど年の差はないかもしれない。
じいさんは私を一瞥したがまた目を閉じた。足の震えは止まった。
「寝ちまったか、もう長くねえな」
タカさんは私だけに聞こえる声で独り言のようにそう言った。
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