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あの人の事を好きだと気付いた時にはもうすでに、かなことは親友だった。
本人は否定しているけれど、かなこもたぶんあの人に好意を持っているように思う。
「あいつは幼馴染だから、そんなんじゃないよ」
かなこは私にそう言った。
あいつと呼べるかなこも、幼馴染という言葉の響きも羨ましかった。
あの人と、かなこを天秤にかけることなんてできないし、かけようとした自分自身に嫌気がさした。
かなこは私がこの大学でたった1人の気の置けない子だから。
水曜日の授業終わりに1人暮らしの彼女の家に遊びに行くのが日課になっていた。
木曜日はお互いに午後からの授業だから、
よく朝まで起きていて、大抵はおすすめの本とか、行ってみたいカフェの話で、およそ人生には必要のない会話ばかりだったように思う。
だけどそんな生産性のない会話を眠くなるまで話せる相手がいるということが私にとっては幸せなことだった。
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