魔女と毒薬

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 テントを分けて進み入ると、老婆はエリスをみとめコクリとするとまた目を閉じた。薄暗いテントの中を照らすのは古びたオイルランプのみ。薄暗闇の中には観た事の無い華やかなジプシーの装飾で彩られ、天井から下げられた金属の細工がくるくるとゆっくり回っている。ランプの照らす光は老婆をより不気味に、飾られたガラス細工たちの煌きを幻想的に飾っていた。  エリスはその中の一つのポーションに心引かれる。その今にも壊れてしまいそうな華奢な瓶に何か力強いものを感じたのだ。エリスがポーションを手に取ると、いつの間にか老婆が傍に居て「これは非売品だよ、その光は夜空に輝く星の欠片、何でも願いをかなえるが何か一つ大切なモノを失う、お嬢ちゃんには強過ぎる。あんたにはこの健康と長寿のポーションがいい」と言って、青いポーションを手渡した。「これはサービス、あんたにあげる」そう言うと、またイスに座り居眠りを始めた。
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