優しい気持ち

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 僕は早乙女ショウマ!暑いなぁ!もう少しでゴールデンウィークだ。  まるで夏みたいな気温だったよね?  権現堂の桜も散り、サクラロスなのか?チョッピリ憂鬱な気分だ。  僕は計算が苦手だ。  九九だってよく分からない。  小学3年生はツラいよ!  もう少しで弟か妹が生まれる。  お母さんは臨月で小山市民病院に入院している。  元気な赤ちゃんだといいなぁ!  かけっことか、鬼ごっことかして遊びたいなぁ。  課外活動で今日はスケッチをしに来た。 「うわぁ!キレイな菜の花~」  マドンナの奈緒ちゃんがキャピキャピ騒いでいる。僕は奈緒ちゃんにゾッコンだ!  将来は奈緒ちゃんをお嫁さんにしたい!  でも、9×2の仕方が分からない僕なんか相手にしないだろうな? 『9×2が出来ないショウマ君なんて男じゃない!』  怖い顔してビンタされるんじゃないか? 「ねぇ?先生?9×2ってどうやればいいの?」 「こんな真っ昼間からバカなこと言わないで」  陽子先生は顔を真っ赤にしながら言った。 「何で怒るの?9×2が出来ないって恥ずかしいことなの?」 「ええ!9×2が出来ないのは男ではありません」 あ~!テストで0点採ったらお父さんからラリアット喰らわされるよ。 奈緒ちゃんは家庭で何かあったのか、菜の花を真っ赤に描いた。 「それじゃあヒガンバナじゃん」  秋に咲く寂しげな花だ。  奈緒ちゃんは赤や黄色、緑に紫………様々な色を混ぜ合わせて変な色にした。 「あー、ドドメイロの空~♪」  わけのわからん歌を歌っている。  陽子先生が真面目な顔をして僕に言った。 「このあたりに仙人が出るのをショウマくんは知ってるかな?」 「1000人?1000人乗っても大丈夫」 「それ屋根かなんかのCMだよね?どーしてそんな古いCM知ってるわけ?」 「パパがCMマニアなの?この~木なんの木、気になる気になる木~♪」 「音痴、死ね」  ひどい先生だ。 「で~?仙人がどうかしたんですかぁ?悪徳商法かなんかですかぁ?」  奈緒ちゃんは1000人の正体を知ってるらしい。 「仙人はちゃんといます!」 「スタップ細胞みたいな感じだね?いるかいないか分からないみたいな?」 「ちゃんと聞いて!」  先生が言うには1000人は赤い絵の具を探しているらしく、そいつを見つけると願いが叶うらしい。  
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