カナエビト

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飽きる程に拡がる自由の空 潮風が薫る港の風は柔らかく吹き抜ける。 釣り上げた魚を自慢げに掲げる漁師は楽しげに食べ方と売値を歌い 幸せそうに鼻歌を歌い歩くペット連れの女性は賑わう市場で踊る様に買い物を楽しみ そして馬車が闊歩する小さな町を歩く少年少女達は笑いあいながら小さな伝説の話を奏でていた。 今も昔も…大それた伝説というもの、オカルトや都市伝説の類はあるもので 此処最近、若者を中心に広まっている“カナエビト”の噂話。 “夜空を見上げながら強く願えばカナエビトと名乗る紳士が現れ願いを叶えてくれる” というものなのだが…少年少女をひきつける伝説はここから先。 『ただし、願いは“闇”に関係する事』 『カナエビトは何かしらの代償を要求してくるが、拒否をすれば命を取られる』 この二つに抑えられない魅力が生まれているらしい。 成る程…年頃の青年らしいと大人は呆れ笑い流していた。
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