#05

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そういいながらも、難波の表情はゆるゆるだった。 糠に釘、暖簾に腕押しとはこのことだ。 「成瀬、この企画書よく出来てた。今回はこの案でいく。次の会議でプレゼンだ」 杉崎が難波との間に割って入ってくる。 あからさまなその行動に成瀬は内心吹き出した。 思えば、彼の行動の端々にそんな感情が見え隠れしたいたかもしれない。 あの頃はそんな余裕もなにもなかったのだが。 「分かりました。この企画、通ったんですね。よかった」 「プレゼンは俺と一緒にやるぞ」 杉崎に企画書で頭をポンと叩かれた。 そんな小さな行動さえ今は面映ゆく思えてしまう。 ほんの少し前までは、噛みつく勢いで拒絶していたはずなのに。 そう思うと、あまりにもあっさり手の平を返した自分が妙に恥ずかしい。 「どうした?」
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