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買い物から帰ってきた俺は、台所の惨状を見て、即座に物盗りの仕業と勘違いした。
そして思い直した。
盗られる物など何もない。
「コダマ。そこで何をしている」
「何って料理だよ」
「この破壊活動、誰に頼まれた?」
「タニガワ君が、私の手作りのお弁当を食べたいんだって」
「タニガワが冒険者だってことは知っているけれども、命を大事にしろと言っておけ」
「これでいいと思う?」
「人の話を聞け。それは何の墨だ?」
「ウインナーとゴボウとたくあんだよ」
「大事な食糧様に対する酷い暴力だ。やめておけ、いくらタニガワが機関車並みに丈夫でも」
タニガワは、妹のコダマの彼氏という奇特な存在だ。
「ちょっと焦げちゃったけど、タニガワ君なら私の努力は認めてくれるよね」
夜空様夜空様。
できることならば、あなたのところからやって来たに違いない我が妹の思考回路と料理の腕前を何とかして下さい。
ついでにタニガワが無事でありますように。
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