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「クワトル用の装備だからタラントス討伐なんて無理だし。しかもこんな時に威嚇爆竹切らしているんだよね・・・・・・」
状態異常には強いが防御力は低い今の装備では、タラントスの一撃でゲームオーバー間違いなしである。おまけに獣避けもないとあってはひたすら逃げるしかない。
それなのに。
「逃げ切れるポイント、間違えるなんて、もう・・・・・・」
自然と溜め息がこぼれる。
落ち込みながらも足は止めない。
まだ。まだ、チャンスは残ってるはずだから。
徐々に重くなってきた足に力を入れ、タイミングを図る。チラリと肩越しに見やったタラントスは、頭を極端に低めた前傾姿勢で追いかけてきていた。
追いつかれる前に・・・・・・いけるだろうか。
「ーーここだっ!」
男は度胸、女だって度胸だよね!
左右から倒れている木の直前で、私は体を倒し、一気に前方へと滑った。
うまくスライディングが決まって、倒木の隙間を縫ってその先へと出ることに成功。
タラントスは一瞬躊躇ったらしく、足を止めた。
獲物を逃す気はないようですぐに倒木を乗り越えはじめたけど、これで数分稼げた!
思わず笑みがこぼれる。でも、ここで油断するわけにはいかない。
私は足を止めずに林の中を駆け抜けた。
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